黒い鳥と白い鳥!黒い鳥はずっと一人である池のほとりに住んでいました。兄弟も友達もいない。ずっと一人でしたが寂しいと思ったことはありませんでした。 ある朝起きておなかがすいたので何か食べ物はないかと池の周りを飛んでいると、池の周りの道に白いものが落ちていました。 なんだろう?と思って黒い鳥はおりて近づいてみました。 それは白い鳥でした。ぐったりしています。どうしたの?大丈夫?声をかけてみました。 おなかが空いて飛べませんと白い鳥が答えました。 そういうことならと黒い鳥は食べ物を持ってきました。そしてそばでそっと見守りました。 白い鳥は食べ物を食べて少し元気になりました。 僕の家で休んでいくといいよ。黒い鳥は自分の家に連れて行きました。 数日の間黒い鳥の家で寝ていました。その間食べ物も持ってきてあげました。 白い鳥はすっかり元気になって少しずつ飛ぶ練習を始めました。 食べ物も自分で取りに行けるようになりました。 白い鳥がいていろんな話をしました。白い鳥はあちらこちらを旅していて今まで行った街の様子やおいしかった食べ物の話とかをしてくれました。 友達がいたら楽しいなあと黒い鳥は思いました。 でも楽しい時間は長くは続きませんでした。 ある日、白い鳥は言いました。 僕は旅の鳥。あちらこちら旅をする鳥なんだ。いろいろ面倒を見てくれたから僕はすっかり元気にあった。本当にありがとう。 でもいつまでもここにはいられない。僕はまた旅に出るよ。 黒い鳥は驚いて、そしてちょっとがっかりしました。 せっかく楽しく暮らせると思ったのに。 でも仕方ないなと思って白い鳥が何度も後ろを振り返りながら飛んでいくのを見送りました。 白い鳥はやがて見えなくなりました。 黒い鳥はまた一人になりました。 でも寂しくはありません。白い鳥がまたきっと旅の途中で立ち寄るよと言ったからです。 独りぼっちだった黒い鳥に友達ができました。 また白い鳥が来るのを楽しみに待っていましょう。 今度白い鳥が来たら、こんな話をしようとかこんなものを食べようとか。 池に氷が張ったら氷の上で遊ぼうとかいろんなことを考えます。 友達を待っているのもなかなか楽しい時間です。 それは一人でいるよりずっと楽しい時間です。 |